企業はSLに「逃げた」のか

ただ、武田氏が言うような、企業が(自分たちに)理解しがたいウェブでの展開を避けて、わかりやすいセカンドライフに逃げた、という側面が全くないか、といえば、それは「ある」と考えています、私としては。
いや、わかりやすいか否か、というよりは、市場が自分たちにコントロールできそうかどうか、という観点だと思います。ネット展開は避けては通れないが、どうもプロモーション結果が芳しくない。ブログをたてれば炎上するし、2chではすぐ悪口が書かれる。口コミもこちらの思惑どおりに広まってはくれない。これまでマスメディアを通じて仕掛けてきた広告戦略が、ネットではなかなか通用しない。
企業側が消費行動の主導権を握れずに困惑しているところへ、救世主SLの登場です。おお、これならわかりやすい。おまけにこちらはまだネットのコアユーザーによって「汚染」されていない。ここでなら今までのように、こちらがブームを仕掛け、大衆がそれに乗る、という展開が可能なんじゃないか。
まあ私の勝手な妄想にすぎませんが、もし上のような思惑があったとすれば、「戦後の土地取りのような状況」という武田氏の指摘とも相通じるものがあると言えるでしょう。
ただ、そう考えて参入してきた企業にとっては悲しいかな、SLも実態はCGMが幅を利かせる世界であったわけです。企業が金をかけたアトラクションが閑古鳥を飛ばせている隣で、若い女の子が個人で開いたアクセサリー屋が日に数十人の集客を実現しているというのが今のSLの現状です。鈍重な大企業が思ったように事が運ばずオタオタしている隙に、身軽な個人と、彼らと手を取り合う道を選んだ小企業が着々と領土を広げている、という。*1
「SLは企業の広告ばかり」という先入観も、そろそろ改まってくれるとありがたいのですけれどね。

*1:ただ、私は英語が苦手で今のところあまり英語圏へ出ていかないので、英語圏(というか非日本語圏)での現状がどんなものかはわからないのですが。ご存知の方はコメントいただければ幸いです。